否定はしない。ただ、映像で観たいと思った。これは、よくある舞台作品へのけなし言葉ではなく、素直に映像にした方が面白いと感じ、だから、素直に映像で観たいと思ったのだ。
レパとしての全体の構成はよく出来ていると思う。誰もが少しずつ、不満とかコンプレックスとか、自分ではどうにもならないものを持っている。それをそのままにして過ごしていける人がほとんどだが、それによって少しずつ追詰められ、病んだり狂ったりしていく人もある。
その差迫り感が無いというか、何というか。いや、出てるし、出そうと構成しているし、そういう芝居もしているのだが、こちらに迫るものが無いというか。
もしかしたら、演出がそういうセンスかもしれない。また、トラムという空間が、何か薄めてしまっているのかとも思った。生活の覗き見感とか少しずつ病んでる感とか、ちょっとツマズキノイシを思い出した。じゃあ、スズナリで演ったら濃密になるのだろうか。
中盤、その薄さにちょっと飽きてしまった。要らないシーンではないので、持っていき方とかテンポとか、もう少しだけ何とかしてくれたらなぁと思うんだけど。結局、好みとセンスの違いなのか?人気の劇団らしいし、ただ自分の好みじゃないだけって言っちゃったら、話にならないんだけどね。
別に目立って芝居が下手ということもなく、スカしていることもなく。(この劇団に憧れてスカした芝居している人はいそうだが。)もしかしたら見落としているのかもしれないが、舞台なので全員の表情を見ることは出来ないし。それで伝わりきらないなら、映像で巧いこと編集してもらったらいいんじゃない、と思ったわけだ。じゃあどうしたら良いんだろう。声や体の緊張感とかテンポとかだよね、結局。
しかし、ラスト。いきなりいかにも舞台っぽくなる。大音量の「魔笛/夜の女王のアリア」。スモーク。細やかな幸せを纏う人々から、独り取り残される洋子。背後には、携帯を高々と掲げる制服姿の松田。そして、次々と大きな白い垂幕にメールの内容を書いたものが落ちて来る。上が埋まれば、床も転がってくる。たまらず、幕を引き下ろす洋子。大量の幕の中で暴れまくり、次第に動けなくなる洋子。その間、ずっとアリアの大音量。そして事件へ。
ラストあたりは面白い演出だと思う。しかし、それまでの流れを考えると、やや違和感も感じる。あと、オペラの力かなぁ。
セットは違う場面のものを置きっぱなしにして、それが空間を区切っていた。それは良いと思う。でも、ラス前ではけた方が良いかと。
作演の人が主要な人物の松田も演っていた。
ヘリコプターの音が、洋子の不安な気持ちを暗示してたのは良かった。
次回は秋頃スズナリで演るらしい。たしか、ツマズキも秋頃スズナリだったはず。もう一回だけ、二つを比べる為に観に行こうと思う。
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